誰もが移動しやすい都市の道路と交通環境をめざして
−DPI世界会議札幌大会でのアンケート・ヒヤリング調査−
札幌市では、毎年多数の国際会議やイベントが開かれており、国内外の来訪者のあらゆるニーズに対応できる道路整備や交通環境整備が求められています。
札幌開発建設部では、誰もが移動しやすい都市の道路と交通環境のあり方を検討するため、平成14年10月に第6回DPI(障害者インターナショナル)世界会議札幌大会に参加された方々にアンケート並びにヒヤリング調査を実施しました。
この度の調査では、障害当事者の方々をはじめ、多数の方々から貴重なご意見を伺うことが出来ました。ご協力いただきました皆さまに深くお礼申し上げます。これからも皆さまのご意見を活かし、誰もが安全で快適に移動できる道路と交通環境の創出を目指していきたいと考えております。
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第6回DPI世界会議札幌大会 開催状況 |
アンケート調査では、障害当事者の方々や、保健・医療・社会福祉分野の業務に携わっておられる方、 及びボランティアの方に、札幌市内での移動についてのご意見を伺いました。
1.障害当事者の意見
2.当事者以外の意見
3.移動手段別の総合評価福祉のまちづくり学会の報告論文(PDF)(アンケート調査の詳細はこちらをご覧下さい)
(1)属性
ご協力いただきました当事者の方々は433名で、その約6割が車いすを利用されていた方でした。 また、海外からの参加者は全体の約3割、札幌市民は全体の約2割を占めています。



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(2)札幌市内の移動で良かったこと・良くなかったこと
札幌市内の移動で高い評価を受けたのは、「福祉車両」、「道路環境」、 「サービス提供者・関係者の対応」に関することでした。その反対に、良くなかったのは「道路環境」、 「エレベーターの不備、不足、位置がわからない」、「案内表示(アナウンス)の不備、不足」で、 そのうち「道路環境」の良し悪しについては、当事者によって意見が分かれています。
*良かったこと
- 歩道が広く、段差が少なかったので歩行しやすかった。
- 道が広くて歩きやすい。
- 特にバリアを感じず××(地域名)より平坦でスムーズに移動できた。
- タクシーの運転手が親切で障害者を乗せるのに困ったりしなかった。
- 地下鉄の駅員の対応が良かった。
- DPIが用意した小型バスはとても良かった。
- 交通のアクセシビリティと協力的な運転手やスタッフが良かった。

*良くなかったこと
- 横断歩道に出るとき車道の段差が気になる。
- 小さな通りでの歩道の切り下げがかなり急なところがあり、道も良くなかった。
- 歩道が波打っていて通りづらい。
- エレベーターの所在案内がわからないし移動距離が長くて疲れた。
- 歩道に点字ブロックが少ない。
- 案内表示が見づらかった。
- ところどころに自転車がまとめて置いてあって歩行の妨げになるので邪魔にならないように置いて欲しい。
(1)属性
ご協力いただきました当事者以外の方々は751名で、その7割がボランティアでした。 また、海外からの参加者は全体の約2割、札幌市民は全体の約4割を占めています。



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(2)札幌への訪問や札幌市内の移動に関する問題点当事者以外の方々が指摘した、札幌への訪問や市内の移動の問題点や改善点の中で、 「案内表示の不備・不足」、「エレベーターの不備、不足、位置がわかりにくい」、 「歩行環境」が上位項目となっています。
−保健・医療・福祉従事者−

*保健・医療・福祉従事者の意見
- 車いすによる都心部の移動は何とか時間をかければ出来るが、視覚障害の方の移動(特に地下鉄内の)の点字は不十分なので改善して欲しい。
- 公共のリフトバスがあまりない。わざわざ駅員を呼ばないと乗れないエレベーターがある。
- 歩道が狭い。歩道が斜めになっている。
- 大会専用のバスは無料でいつも混雑するので、他の公共交通も使えるようにチケットや乗車案内を充実させるべきであった。
- 車道に出ないと車いすで通れないところがあった。
−ボランティア−

*ボランティアの意見
- 横断歩道に出るとき車道の段差が気になる。
- 小さな通りでの歩道の切り下げがかなり急なところがあり、道も良くなかった。
- 歩道が波打っていて通りづらい。
- エレベーターの所在案内がわからないし移動距離が長くて疲れた。
- 歩道に点字ブロックが少ない。
- 案内表示が見づらかった。
- ところどころに自転車がまとめて置いてあって歩行の妨げになるので邪魔にならないように置いて欲しい。
4つの交通手段に対する総合評価では、STS/移送サービスが最も高く評価されました。 これは、大会期間中に特別に提供されたサービスであり、大会事務局やボランティア 団体等のご尽力と大会そのものの盛況さに比例して好評を博したと思われます。 その反対に、最も厳しく評価されたのは徒歩(車いす)で、悪い路面状態や路上施設の配置が、 利用者に大きな負担を与えていると思われます。特に、札幌市民の歩行環境に対する評価が 低くなっていますが、その理由としては、回答者の中には積雪時の歩行困難さを想定して いたことが考えられます。
ヒヤリング調査では、障害者交通問題に長年取り組んで来られた3名の有識者の方々に、 今後のよりよい道路整備や交通環境整備のあり方ついてご意見を伺いました。
氏 名 略 歴 マイケル・ウインター氏
(アメリカ:車いす利用者)米国運輸省連邦運輸部 人権事務所長
元バークレー自立生活センター所長。アメリカのアクセシブルな交通政策に精通。トッポン・クンカンチット氏
(タイ:車いす利用者)DPIアジア太平洋ブロック事務局長
1994年にバンコクで建設中だった高架鉄道スカイトレイン(99年開業)の改善を訴えた 障害者組織のリーダーとして活躍し、トイレ改善や点字ブロックの設置などを実現。グラム・ナビ・ニザマニ氏
(パキスタン:車いす利用者)オールサンガー障害者協会代表
DPIパキスタン・アジア太平洋州地域会員(1)交通アクセス改善を目的とした地方自治体の重要施策について
有識者の出身国の違いによって、重要施策の捉え方が異なっているのが特徴的でした。 モータリゼーションの発達したアメリカでは、障害の有無に関わらず、歩行者と ドライバーの権利が同等に擁護され、そのどちらかが優先する、あるいは、 お互いに対立するような道路整備を見直すことが重要だとされています。 国家予算が潤沢ではない開発途上国では、ITS等の最新技術ではなく、できるだけ 低コストで実用性の高い技術の導入することで、持続的な改善を進めることが求められています。 また、交通アクセスの改善の前に、安全性の確保が重視されるべきとの意見もありました。
(2)道路及び公共交通機関の改善事項について
UD(ユニバーサルデザイン)の概念を活かした社会基盤整備や、 施設の設計者や維持管理者がそれぞれの立場でUDの基本理念を 持続させることの大切さが指摘されました。
○ 具体的な改善事項
- 道路構造(歩道の勾配・段差・幅員、歩車道接続部のスムーズなすりつけ等)
- 道路から各公共交通施設へのアクセス
- 案内・誘導サインや視覚障害者用誘導ブロックの設置、管理
- 様々な交通手段を利用者が選択できる自由度
- 計画や設計段階から障害者が積極的に関わるしくみづくり
(3)障害者の意見を反映させる交通施策のあり方について
有識者の一致した意見として、行政側が障害者団体に積極的に働きかけ、事業の計画段階から 障害者との議論を展開し意志決定を行うことの必要性が取り上げられました。 また、そのための環境(例:手話通訳や車いすのアクセスが可能な会議場での公聴会など) や情報提供の手段を備えることが求められています。
(4)その他、日本及び札幌市内での交通環境について
開発途上国の有識者は、日本の交通環境が自国よりも格段に優れているこという感想を 述べておられましたが、バリアフリーやアクセシブルな交通環境の地域格差が非常に 大きいことが明らかになりました。
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